タイトル:小惑星による恒星食の長期予報(1999〜2019)

  将来の小惑星による恒星食の観測計画を立てるため、全ての確定小惑星によるHIP/ACT
星の掩蔽の予報計算が2019年分までできています。このうち、主なものを紹介します。

・1999年3月4日 (748)Simeisaによる υ Leo(4.30等)の掩蔽
  この現象は、今年日本で見られるものの中で、最も明るい掩蔽の1つで、日本全体が
  2σ以内にあります。ハワイ、韓国、中国でも見られる可能性があります。

・1999年10月2日 (2)PallasによるHIP035217(7.73等)の掩蔽
  この現象は、今年日本で見られるものの中で、最も好条件の掩蔽で、東北地方で見ら
  れることが確実です。東北地方への遠征観測が計画されています。

・2000年10月4日 (4)VestaによるHIP096940(8.45等)の掩蔽
・2000年10月4日 (11)ParthenopeによるHIP088396(6.73等)の掩蔽
  わずか14分の間隔をおいて起こるこの2つの掩蔽は、どちらもパプアニューギニアの
  首都ポートモレスビー付近を通っており、予報の精度の良さから、遠征観測する価値
  があります。国際的な遠征観測隊が組まれる可能性があります。

・2001年9月7日 (9)MetisによるHIP030570(6.05等)の掩蔽
  この掩蔽帯は、アメリカ西海岸からカナダにかけて通っており、早期の改良予報に
  よってカリフォルニアで見られることが確実になれば、遠征観測可能です。

・2002年4月7日 (55)Pandraによるβ Gem(1.16等)の掩蔽
  このポルックスの掩蔽は、中央アジア〜モンゴル〜朝鮮半島(昼間)、そして日本を
  通ります。日没後の現象になるのは日本だけで、日本で見られることは確実です。
  早期の改良予報によって、国内遠征観測しましょう。

・2002年9月1日 (6338)IsaosatoによるACT3326486(10.61等)の掩蔽
  この掩蔽は、アフリカで見られる可能性がありますが、小惑星が小さく、現実的では
  ありません。

・2003年2月26日 (5145)PholusによるACT0130875(8.95等)の掩蔽
  ケンタウルス天体であるフォルスによる9等星の掩蔽は、北米大陸西部や太平洋で
  見られる可能性があります。コマによる減光が検出されるかどうかが注目されます。

・2003年6月24日 (124)Alkesteによるβ Vir(3.59等)の掩蔽
  この4等星の掩蔽帯は、オーストラリア南部を通っており、晴天率の高さと恒星の
  明るさから早期に精度のいい予報を出せば、遠征観測可能です。

・2003年7月19日 (976)BenjaminaによるHIP088816(5.52等)の掩蔽
  この掩蔽帯は、オーストラリア東部およびニュージーランドを通っており、早期に
  精度のいい予報を出せば、遠征観測可能です。

・2004年5月31日 (51)NemausaによるHIP080037(8.32等)の掩蔽
  東北地方を通ることが確実で、遠征観測できます。

・2004年9月6日 (287)Nephthysによるη Oph(2.43等)の掩蔽
  この2重星の2等星の掩蔽は、アラビア半島〜インド〜マレー半島にかけて通って
  おり、改良予報によって遠征観測したいものです。

・2005年1月24日 (8)FloraによるHIP036864(8.13等)の掩蔽
  西日本を通ることが確実で、遠征観測可能です。

・2008年9月12日 (9)MetisによるHIP014764(5.97等)の掩蔽
  アメリカ〜カナダを通ることが確実で、遠征観測可能です。

・2008年9月26日 (216)KleopatraによるHIP113438(7.67等)の掩蔽
  異常に細長い形をしたクレオパトラによる掩蔽は、オーストラリアを通ることが確実
  で、遠征観測可能です。

・2008年11月7日 (624)HektorによるHIP002512(7.22等)の掩蔽
  接触2重小惑星ではないかと言われているトロヤ群小惑星ヘクトルによる7等星の
  掩蔽は、東南アジアで見られる見込みです。

・2014年3月20日 (163)Erigoneによるα Leo(1.36等)の掩蔽
  このレグルスの掩蔽は、アメリカ東海岸を通る見込みで、観光を兼ねた遠征観測には
  最高でしょう。

・2015年5月24日 (1669)Dagmarによるα Leo(1.36等)の掩蔽
  このレグルスの掩蔽は、中東を通る見込みですが、小惑星の暦の誤差が大きく、今後
  の軌道改良が期待されます。

  このように、日本や世界で遠征観測可能な好条件の現象は、既に予報されています。
私は、日食観測のように、小惑星による恒星食を追いかけて、日本中あるいは世界中を
駆け巡りたいという夢を持っています。国内遠征なら、数日前の改良予報に基いて、
有志の自弁で遠征観測することも可能でしょうが、海外遠征の場合には、準備や遠征
自体に時間がかかるので、かなり早いうちに正確な予報が出ていることが必要です。
このためには、現在行なわれているようなUSNOによる小惑星の観測だけでは不十分で、
国内の望遠鏡による組織的な支援観測が必要となります。また、海外遠征の場合には、
多くのお金がかかるので、何か研究費を取って、確実に成果が挙げられるよう、交通の
便がよく、晴天率の高い場所で見られる好条件の現象を選んで遠征する必要があるで
しょう。
  現在の技術レベルでは、国内遠征は既に可能な段階にあります。今年10月2日に東北
地方で起こるパラスの掩蔽は、それを実証して次のステップへ進むための絶好のチャン
スです。ですから、このパラスの掩蔽には、是非多くの方が参加されることを期待しま
す。また、海外遠征に向けての技術的な検討も開始したいと思いますので、関心のある
方は、御連絡下さい。海外遠征は、日本だけではなく、国際的な共同観測になる可能性
が非常に高いものです。ですから、天文観測のみならず、海外旅行や外国滞在の経験の
豊富な方を歓迎します。
                                                                          以上
-----------------------------------------------------------------------------
発信人 : 佐藤 勲
住所   : 182-0017 東京都調布市深大寺元町5-2-6
E-mail : satoois@cc.nao.ac.jp
TEL    : 030-963-1359 (24 hours Ok!, 重要な情報は電話でお知らせ下さい。)
FAX    : 0551-20-5576
このメールは、必要に応じて不定期に発信します。(掩蔽予報以外の転載を禁ず)
-----------------------------------------------------------------------------