第4回系外惑星トランジット観測研究会・第7回小惑星ライトカーブ研究会合同研究会 収録

  日 時:2010年9月18日(土)13時〜19日(日)13時
  場 所:国立天文台・三鷹、大セミナー室

 系外惑星のトランジット現象の観測、小惑星のライトカーブ観測は、共
に「観測的手法で惑星系形成の解明に取り組む」、「中小口径望遠鏡によ
る測光観測」、「プロとアマチュアの連携が重要」と共通点が多く、それ
ぞれの観測者が意見交換を行う事は非常に有意義であると考えられます。
 このような状況を踏まえ、系外惑星トランジット観測研究会と小惑星ラ
イトカーブ研究会を合同で開催いたしました。
 当日はスーパーサイエンス校の高校生を含めて、88名の参加がありまし
た。
 以下、合同研究会の講演の記録です。


 ※ 合同研究会に先立ち行われたスーパーサイエンス校の勉強会の資料
  を最後に掲載してあります。

講演プログラム(発表順、敬称略)

レビュー講演その1 招待講演(講演時間30分質疑応答込み)

招待講演1 A型星の視線速度サーベイとトランジットフォローアップ
発表者井田茂(東工大)
収 録PDFファイル(2.7MB)
招待講演2 小惑星の可視測光観測から何がわかるか
発表者安部正直(JAXA)
収 録PDFファイル(2.4MB)

レビュー講演その2(講演時間17分・質疑応答3分)

ライトカーブ観測の手法
発表者浜野和弘巳(浜野和天文台)
収 録PDFファイル(1.4MB)
すばるN2Kサーベイのその後
発表者佐藤文衛(東工大)
発表要旨 2004〜2006年にすばる望遠鏡を用いて行われたN2Kコンソーシアムによるホット・ジュピター探索は、二つのトランジット惑星を発見するという大きな成果を挙げた。その後は、視線速度測定精度の改善に取り組みながら観測を続け、最近二つの長周期惑星を発見した。さらに、複数の候補天体について現在岡山観測所で追観測を続けている。講演では、すばるによる本格観測終了後も粘り強く続くN2Kプロジェクトの近況について紹介する。
収 録PDFファイル(2MB)
中小口径望遠鏡で行う惑星科学ー系外惑星と小惑星観測
発表者浦川聖太郎(JSGA)
収 録PDFファイル(0.6MB)

一般講演(講演時間17分・質疑応答3分) 

サブミリ等級の精度を達成するまでの試行錯誤
発表者大島修(水島工業高校)
発表要旨 美星天文台101cm望遠鏡を用いたHAT-P-2のトランジットの測光観測において、数10分間という短い間ではあるが標準偏差でミリ等級を下回る測光精度を達成した。そこに至るまでの工夫や試行錯誤について述べる。
収 録PDFファイル(1MB)
小惑星の掩蔽とライトカーブによる立体形状の決定
発表者佐藤勲(中野星の会)
発表要旨 小惑星による恒星食の観測から得られた断面と、ライトカーブの振幅・位相の組み合わせから立体形状を決定する方法について述べる。
収 録PDFファイル(5.1MB)
MOA61cm望遠鏡を用いたTransit Timing Variation(TTV)の観測
発表者福井暁彦(名古屋大)
発表要旨 これまでに約400個の系外惑星系が発見されており、そのうち10個程度の系に軌道共鳴の惑星ペアが見つかっている。そのような惑星ペアは、もともと中心星から数AU外側で形成され、円盤ガスとの相互作用で2つの惑星が中心星へ向かって移動する過程で軌道共鳴に捉えられると考えられている。逆に軌道共鳴の惑星ペアが見つかると、それらは円盤ガスとの相互作用によって軌道が進化してきたことの証拠となりうる。
 Transit Timing Variation (TTV) 法は、トランジット惑星の周期の変化からその摂動源となる第2の惑星を検出する方法であり、特に軌道共鳴の惑星に検出感度が高い。
 我々はニュージーランドの口径61cm の望遠鏡を用いて、トランジット惑星WASP-5bのTTV観測を行った。その結果、トランジット周期が3.7σのレベルで一定値からずれていることがわかった。
 さらに、これが第2の惑星の存在によるものだとすると、WASP-5bと共鳴軌道の惑星が存在している可能性が高いことが分かった。
収 録PDFファイル(1.5MB)
小惑星のライトカーブより形状を求める研究
発表者村方、江口、後藤、権田、寺岡(小倉高校)
発表要旨 小倉高校では平成17年度から小惑星のライトカーブ観測を行ってきました。
 平成21年度は、いびつなライトカーブを描く小惑星「フェレダ」に着目してライトカーブより形状を求める作業を行ってきました。5夜にわたる観測データをもとに、試行錯誤を繰り返していろんな粘土モデルを作り、実際観測したライトカーブと似かよったライトカーブを粘土モデルで作ることができました。
収 録PDFファイル(1.3MB)
小惑星Olympiaの立体形状
発表者ハートピア安八高校生観測チーム(一宮高校、岐山高校、大垣東高校)
発表要旨 ハートピア安八高校生観測チーム『AstroHA』(愛知県一宮高校、岐阜県岐山高校、大垣東高校)は小惑星Olympia(14.7等)による恒星(10.3等)の掩蔽現象の観測を行った。AstroHAおよび提供を受けたJOINのデータを解析し、小惑星の断面形状を求めた。さらに、2回のOlympia測光観測により小惑星の立体形状を推測した。
収 録PDFファイル(1MB)
成蹊高校のトランジット観測
発表者伊藤、佐々木、渡辺、内海、坂東(成蹊高校)
発表要旨 成蹊高校天文気象部では,TrESプロジェクトなどを参考に,2003年から系外惑星のトランジット観測方法の検討を始め,2004年2月から高校生が自分たちの手で連続測光を始めた.2004年12月にはHD209458の減光を捉えることに成功し,ハワイマカリィスクールですばる望遠鏡でのTrES-1の測光体験や,H2Kプロジェクト候補天体の観測にも参加した.2008年頃まではトランジットそのものの観測が主であったが,その後はHAT-P-13などのTTVの検出に挑戦している.比較星などの測光条件,フラットフィールド画像,追尾精度などの改良を重ねた結果,中心星光度10等台であれば観測できるようになっている.
収 録PDFファイル(2.9MB)
系外ハビタブル惑星探査への応用にむけた地球照の偏光観測
発表者高橋隼(神戸大)
発表要旨 生命の存在にとって液体は重要であると考えられている。McCullough (2006) のモデルは、表面が海である惑星の反射光は、表面が土・砂・雪である惑星の反射光よりも大きく偏光することを示した。このモデルが正しければ、将来の系外惑星直接偏光観測は、海の存在可能性を調べる手法になりうることを意味する。このモデルを検証するために、西はりま天文台60cm望遠鏡および同時偏光撮像分光装置を用いて、地球照の偏光撮像観測を行っている。現在までに得られた結果を報告する。
収 録PDFファイル(5.6MB)
Suprime-Camによる太陽系小天体のグリズム分光観測
発表者吉田二美(国立天文台)
発表要旨 すばる望遠鏡のSuprime-Camで最近使用可能になったグリズムを使って、太陽系小天体の分光観測を行った。R<25magの289個の移動天体を検出し、そのうち85個は軌道を決定、198個は移動速度からおよその軌道を推定した。R<23mag(メインベルト中央で直径500m程度の小惑星の明るさに相当)の37個の移動天体については4500−8400Å範囲のスペクトルを得た。得られたスペクトルの形から、S,C,D,Qタイプの分類を試みた。まだ予備的な解析結果ではあるが、それが正しいとすると、メインベルトにはかなりのQタイプ小惑星がいると思われる。また、グリズムの0次光を利用して、視野内の恒星の明るさと相対的に移動天体の光度変化を測定することもできる。すばる望遠鏡の大口径を利用して、さらにSuprime-Camのグリズムを使って、直径1km以下のメインベルト小惑星の分光およびライトカーブ観測が同時に可能になったのは画期的なことである。これで同じサイズ領域で、メインベルト小惑星と近地球小惑星の物理特性の比較が可能になる。
収 録PDFファイル(2.3MB)
東工大石川台望遠鏡による系外惑星トランジット観測
発表者大貫裕史(東工大)
発表要旨  東京工業大学では、系外惑星のトランジットを観測することを目的として、2009年4月に石川台キャンパス2号館屋上に口径30cmの望遠鏡(F10)を設置した。CCDカメラはSBIG製STL-1001E(1024×1024ピクセル)を用い、約30分角の視野を撮像することができる。視野に適切な比較星がない場合は、フォーカルレデューサーも合わせて使用し視野を広げている。今回は、このシステムを用いて石川台キャンパスで達成できる相対測光精度を評価するために、既に知られているトランジット惑星系や食連星の試験観測を行った。相対測光を行うことの利点は、目的星と比較星とのフラックス比を取ることにより、同一視野内の天候などによる時々刻々の観測条件の変化を取り除くことができる点にある。
 観測精度は、相対測光を行ったときのフラックス比を縦軸、観測時刻を横軸とするライトカーブを描き、目的星がトランジットしていない時刻、つまり、ライトカーブが直線となる部分の分散を計算することにより求めた。
 今回の発表では、東工大石川台望遠鏡の紹介とともに、このようにして求めた現在の観測精度を報告する。
収 録PDFファイル(2.4MB)
高軌道傾斜角メインベルト小惑星を対象とする広域サーベイ観測
発表者寺居剛(神戸大)
発表要旨 太陽系内側部で小天体同士の超高速度衝突が頻発したと考えられる惑星形成過程最終段階における小惑星の衝突進化を明らかにするため、高軌道傾斜角のメインベルト小惑星のサイズ分布を調べた。8.2mすばる望遠鏡主焦点カメラによる観測データおよび公開されている小惑星カタログから得られたサンプルを用いて累積サイズ分布を作成したところ、軌道傾斜角15度以上の小惑星は直径0.7−50 kmでより傾斜の浅いサイズ分布を持つことが分かった。この結果から、10km/s程度の超高速度衝突下では大きな小惑星は相対的に壊れにくくなると推測される。
収 録PDFファイル(2.5MB)
三瓶自然館での系外惑星トランジット観測
発表者矢田猛士(島根県立三瓶自然館)
発表要旨 島根県立三瓶自然館は1991年に大山隠岐国立公園三瓶山地区に開館した自然史系博物館で、2002年に60cm反射望遠鏡とクーデ式20cm屈折望遠鏡が設置され、公開天文台として一般向け観望会などの活動も行っている。当館では、2005年より観測テーマとして60cm反射望遠鏡と冷却CCDカメラを使用した系外惑星トランジット観測に取り組んでいる。発表では、これまでのHD189733bなどの観測と今後の展望について報告する。
収 録PDFファイル(2.3MB)
等級振幅の大きい小惑星を探してください
発表者高橋茂(国立天文台)
発表要旨  トロヤ群小惑星やカイパーベルト天体などの氷天体では等級振幅が大きいライトカーブを持つものが見つかっております。これらは、物理的に平衡な形状をとっている可能性があり、密度をライトカーブから推測することができます。本講演では、小惑星を観測される方々にこの研究の現在を紹介いたします。
収 録PDFファイル(0.5MB)
Transit timing Variation法による系外惑星の探索
発表者真鍋翔(神戸大)
発表要旨 トランジット惑星が存在する系に第2の惑星が存在すれば、トランジットの周期が厳密に一定ではなくなることが予想される。我々は、既知のトランジット惑星を対象にトランジット観測を行い、そのずれを検出することで未発見の惑星を探索している。本研究会では、現在行っている観測とその過程について発表する。
収 録PDFファイル(2.5MB)
(624)Hectorの測光観測
発表者浜野和弘巳(浜野和天文台)
発表要旨 D-タイプの大型の小惑星であり、さらにバイナリ系であるらしいなど(624)Hektorは とても興味深い天体です。 浜野和天文台では4期に及ぶ測光観測と、全周を網羅する多色測光観測を行いました。 一連の観測から導かれた詳細な自転周期や形状、さらに自転軸の傾きや表面の組成に関する情報にも言及します。
収 録PDFファイル(1.4MB)
107P/4015 ウィルソン・ハリントンの測光観測
発表者浦川聖太郎(JSGA)
発表要旨 「はやぶさMK2」の探査候補天体にあがっている、107P/4015 ウィルソン・ハリントンの観測キャンペーンを行った。本講演では、その観測結果について報告する。
収 録PDFファイル(3MB)


◯ 合同研究会に先立ち行われたスーパーサイエンス校の勉強会における講演ファイルとそのテキストを掲載します。

 勉強会の講演 「小惑星による恒星食の観測」 浜野和弘巳(浜野和天文台)

  講演ファイル(0.8MB)   テキスト(0.9MB)