第6回 小惑星ライトカーブ研究会の記録

 2009年6月6日(土)の午後、国立天文台三鷹の大セミナー室において表題の研究会が開催されました。

 この研究会は、アマチュアとプロを対象とした小研究会で、小惑星ライトカーブ・メーリングリストが主催したものです。一つの招待講演、10の一般講演があり、参加者は23名でした。


  日 時:2009年6月6日(土)13:00〜17:45
  場 所:国立天文台・三鷹、大セミナー室

講演プログラム

招待講演(講演時間55分、質疑応答5分)

小惑星と彗星の区別について:隕石・宇宙塵からのアプローチ
発表者野口高明(茨城大学)
収 録論文発表後に公開の予定です

一般講演(講演時間17分、質疑応答3分)

小惑星のライトカーブより形状を決定する手法の確立
発表者井上祐樹、地家雄太(福岡県立小倉高等学校科学部)
発表要旨 粘土モデルと本物のライトカーブより、形状を考察する手法に関して、衝の位置の時期(正面から光が当たる)、光度変化極大(自転軸が観測方向に垂直)の条件を揃えることで、再現性をより高めることが出来る。
収 録PDFファイル(1785KB)
小惑星「クレオパトラ」を追え
発表者木村祐太 (福岡県立小倉高等学校科学部)
発表要旨接近した2重小惑星は、2つを結ぶ軸方向に成長をしてお互いが合体して細長い小惑星に成長していく仮説を、コンピュータシュミレーション等で確認した。
収 録PDFファイル(1499KB)
小惑星の掩蔽とライトカーブより形状を決定する手法の確立
発表者佐藤勳(中野星の会)
発表要旨小惑星による恒星の掩蔽観測とライトカーブの組み合わせにより、ライトカーブだけの場合より正確に小惑星の立体形状を求める方法について講演する。
収 録PDFファイル(4078KB)
小惑星の宇宙風化作用によるカラー変化の解析
発表者野沢由依(日本女子大学大学院)
発表要旨小惑星の族については、数億年前というとても昔に出来た族のみが残っていると思われていたが、近頃、数百万年前というわりと新しい族が見つかった。また、小惑星はそのスペクトルや反射率によって多くのタイプに分類されている。そして小惑星は、宇宙空間に長時間存在し、太陽風や宇宙線に照射されることで表面の組成が変化し、表面カラーが変わるのではないかと言われている。この宇宙風化の度合いはスペクトルに表れる。本研究の目的は、代表的なタイプであるCタイプとSタイプとでどのように宇宙風化が進んでいるかを調べることである。そこで、Sタイプの古いものをKoronis族、新しいものをIannini族、Cタイプの古いものをThemis族、新しいものをVeritas族として、2007年にウズベキスタンのMaidanak天文台にて観測したカラーデータをもとに、それぞれの小惑星の多色測光を行い、表面カラーを解析した。
収 録PDFファイル(1224KB)
Hilda小惑星と準Hilda彗星
発表者大塚勝仁
発表要旨準ヒルダ彗星はヒルダ領域にいるが、カオス的な軌道進化を示す。なかには木星に低速遭遇して、木星に捕獲されるものもあれば、衝突するものもある。暫間的に衛星捕獲された準ヒルダ彗星は過去50年間に5例あるが、それらについて紹介する。
収 録PDFファイル(691KB) 当日の発表資料に代えて論文のプレプリントを掲載しています
彗星小惑星遷移天体Wilson-Harringtonの観測キャンペーン
発表者中村良介(産業技術総合研究所)
発表要旨彗星小惑星遷移天体 Wilson-HarringtonはJAXA の小天体探査ミッションマルコポーロの有力な候補天体です。今年から来年にかけて行われる、この天体の観測キャンペーンの紹介をします。
収 録PDFファイル(1137KB)
Lightcurve観測,2008
発表者浜野和 弘巳(浜野和天文台)
発表要旨浜野和天文台がこの1年間に観測した小惑星たちの現在の姿,特に(624)Hektorの立体形状の解明の試みや、(279)Thuleの長期の観測結果でThule系が多分バイナリ系と思われる観測結果など。
収 録PDFファイル(4409KB)
ライトカーブ観測におけるつなぎのテクニック
発表者宮坂正大(東京都庁)
発表要旨ライトカーブ観測において、離れたフレームから得たライトカーブを一つにつなく手法の一方法を紹介し、具体例によってそれが実用になることを示す。
収 録PDFファイル(416KB)
BRz’バンドによる4ベスタの位相関数
発表者長谷川直(宇宙航空研究開発機構)、宮坂正大、時政典孝、十亀昭人、M. A. Ibrahimov、吉田二美、安部正真、黒田大介
発表要旨 2006年初頭に小惑星4ベスタは位相角が1度以下になるチャンスがあった。そこで我々はベスタの測光観測を行い、BRz’バンドにおけるベスタの位相関数を求めた。
収 録PDFファイル(1994KB)
地球近傍小惑星8567の観測
発表者浦川聖太郎(日本スペースガード協会)
発表要旨これまで口径1mクラスのスペースガード望遠鏡を用いて、地球近傍小惑星(NEO)の広視野サーベイが世界各地で行われてきた。これらのサーベイの結果、人類の存続にか かわるような直径1kmを越す小惑星のおよそ90%が発見され軌道の導出が行われた。今後は、Pan-STARRSのような2mクラス望遠鏡により、都市活動に影響を及ぼすような直径300m程度の小惑星の発見が期待されている。一方、これまで発見されたNEOは軌道の導出は行われているものの、個々の形状やスペクトル型について十分に調べられているとはいえない。NEOの諸物性を調べる事は、万が一の時の回避方法や軌道進化をより詳細に調査するスペースガードの観点においても、また小惑星に着目した惑星系の起源と進化を調べるというサイエンスの観点においても重要である。小惑星8567は2008年に地球と平行するように公転しており、長期間の観測好機を得る事ができたアモール型の地球近傍小惑星である。そこで、浜野和天文台によるライトカーブ観測と美星スペースガードセンターにおける多色測光観測を行い、小惑星8567の形状解析とスペクトル型の導出を行った。その結果、この小惑星は黄経298度、黄緯77度付近を自転軸方向としたイトカワのような形をしたS型小惑星であることが判明した。
収 録PDFファイル(481KB)