第2回 小惑星ライトカーブ研究会の記録

 7月9日(土)の午後、東京の千代田区三崎町において表題の研究会が開催されました。

 この研究会は、小惑星ライトカーブ・メーリングリストが主催したもので、当日はプロの研究者や学生、アマチュアなど18名が集まり、招待講演のライトカーブ観測・解析入門レビューに引き続き、最新の研究成果について11件の発表がありました。

 次回も来年7月頃に東京で開催の予定です。参加者の大半がプロの研究者で、発表内容もレベルの高いものばかりですが、アマチュアが主催する研究会なので決して敷居が高いものではありません。プロの研究者との共同研究で本格的なサイエンスに取り組むことが可能な新しい分野ですから、研究的な観測に感心をお持ちの方は、ぜひ気軽に参加されてはいかがでしょうか。


第2回 小惑星ライトカーブ研究会

  日 時:2005年7月9日(土)12:30〜17:30
  場 所:東京都千代田区三崎町 JR総武線 水道橋西口下車1分
      貸会議室 内海 1階教室

講演プログラム

招待講演

小惑星ライトカーブ観測入門レビュー
発表者浜野和 弘巳(浜野和天文台)
収 録PDFファイル(231KB)
小惑星ライトカーブ解析入門レビュー
発表者土川 啓(石川県柳田星の観察館「満天星」)
収 録PDFファイル(3725KB)

研究発表    (講演時間15分、質疑応答3分)

ライトカーブに依る小惑星の自転周期の推定と小惑星の公転周期との関係について
発表者林 佐千男(長構造研究会)
発表要旨ライトカーブに依る小惑星の自転周期の推定値と、小惑星の公転周期との関係について、HH (Hula-Hoop Rotation-Revolution) 数理モデル に 当て嵌まるか 検証する。 更に、検証された結果の物理モデルについて想定する。
収 録PDFファイル(164KB) 資料1 PDFファイル(40KB)資料2 PDFファイル(43KB)資料2 PDFファイル(27KB)
小惑星の測光観測と変光曲線の解析
発表者森 真知子
発表要旨CCD測光観測により小惑星の変光を測定し、変光曲線から自転周期や形状を推定することを試みた。また、周期解析ソフトの理解を試み、より正確な周期を算出する方法を探った。特に、一般的に使用されているNumerical Recipesのサブルーチン「Spectral Analysis of Unevenly Sampled Data」にある2つのパラメーターについて考察した。
収 録PDFファイル(1295KB)
ライトカーブを利用した低軌道デブリの形状及び運動推定
発表者柳沢 俊史(宇宙航空研究開発機構)
発表要旨低軌道デブリcosmos2082Rocket bodyについて2日間の測光観測を実施し、光度変化から、三軸楕円体モデルの軸比、天球上の回転軸方向、構成物質に関するパラメータ、回転周期の導出に成功した。導かれた三軸楕円体モデルの軸比は100:18:18で、天球上の回転軸方向は赤経315.6度、赤緯2.6度、回転周期は41秒であった。これらの結果から、光学望遠鏡による光度変化の観測が低軌道デブリの形状や運動の推定に非常に有効であることが示された。
収 録PDFファイル(1486KB)動画 MPEGファイル(150094KB)
移動天体検出ソフトウェアを用いた小惑星の光度変化観測
発表者黒崎 裕久(宇宙航空研究開発機構)
発表要旨我々はJAXAで開発した移動天体検出ソフトウェアを用いて長野県入笠山光学観測所の35cm望遠鏡を用いて静止軌道デブリ探索や微光天体の探索を行っている。今回2月の観測において1つの領域から21等級の未知小惑星を2個発見した。2時間半の連続画像を取得したため多くの非常に暗い既知の小惑星が写っており,そのライトカーブデータを得ることができた。この結果の報告と今後の観測のあり方において議論したい。
収 録PDFファイル(2835KB)
自作積分球による冷却CCDカメラの性能評価
発表者宮坂 正大(東京都庁)
発表要旨 小惑星の測光観測を行う上で、冷却CCDカメラの性能評価は大変重要である。しかし、実際に性能評価を行うための標準光源が入手困難であり、広く行われていないのが実態である。そこで本研究では、標準光源に必要な積分球を自作することで、誰でも容易に性能評価が行えることを示す。
収 録PDFファイル(632KB)
(3220) Murayamaのライトカーブについて
発表者土川 啓(石川県柳田星の観察館「満天星」)
発表要旨2004年11月7日〜12月17日までの観測で(3220)がバイナリ小惑星らしいとわかった。その解析結果を発表します。
収 録PDFファイル(939KB)
今シ−ズンのライトカ−ブ観測結果
発表者浜野和 弘巳(浜野和天文台)
発表要旨浜野和天文台では昨年秋から現在まで6個の小惑星に関するライトカ−ブ観測を行いました。観測目的は「日本に関係する小惑星について、1つでも多くライトカ−ブ観測を行い解明しデ−タ化したい」、「またそれらは観測例の少ない小惑星が多いので、あわせてバイナリ小惑星を検出してみたい」、と言う2点に集約されます。後者は「あてずっぽサ−ベイ」と称し、その軌道要素などを考慮して最優先で観測計画を立てています。そんなプロジェクトの初年度の成果を発表します。
収 録PDFファイル(346KB)
連星系小惑星 65803 Didymos における衛星の3次元軌道モデルの推定
発表者北里 宏平(東京大学大学院)
発表要旨 われわれは, 2003年秋に東京大学木曽観測所の30-cm望遠鏡を用いて, 次期小天体探査計画の候補天体のひとつである近地球型小惑星 65803 Didymos (1996 GT) の測光観測を行なった際, そのライトカーブから衛星による相互食・掩蔽現象を検出した. さらに, 2005年夏に再び Didymos の追観測を行ない, 観測点からみた小惑星の方向が異なる条件化でのライトカーブを取得することに成功した. これらの結果をもとにした衛星の3次元的な軌道について議論する.
収 録PDFファイル(5687KB)
ベストイドのライトカーブ観測1.5
発表者長谷川 直(宇宙航空研究開発機構)
発表要旨我々は小惑星ベスタの破片と考えられているベスタ近傍に存在しているV型小惑星「ベストイド」の自転周期を調べる観測を行っており、2003年度では7天体、2004年度では13天体の観測をおこなった。発表では本年度の観測を中心にして結果を報告する。
収 録PDFファイル(587KB)
三つ目岡山望遠鏡によるS-type小惑星の微小なカラー変化の検出
発表者黒田 大介(総合研究大学院大学・ISAS/JAXA)
発表要旨口径50cm望遠鏡とV,Rc,Icのフィルターを使用した三色同時測光カメラを使っていくつかのS-type小惑星のライトカーブを観測した。この研究は形状による変化以外に小惑星表面の特徴的な変化(クレータや突起、構成物質の違い)を検出することを目的としている。このような変化の検出は、自転を考慮した観測からVestaやKarin、Eunomiaなどいくつかの小惑星について報告されている。
収 録PDFファイル(3769KB)
小惑星の掩蔽観測と測光観測による立体形状解析
発表者佐藤 勲(中野星の会)
発表要旨小惑星による恒星の掩蔽観測と測光観測の組み合わせから、その立体形状を求めることは、長年の課題であったが、インテラムニアなど、いくつかの小惑星について、ようやくその立体形状が求められるようになった。時折しか得られない掩蔽観測に対して、いつでも望んだ時に観測できる測光観測は、立体形状を求める上で重要な観測データを与える。
収 録PDFファイル(1721KB)