測光観測 FAQ


測光観測や解析、lightcurve ML に関する FAQ を作ってみました。気が向けばもっと追加しようと思っていますので、お楽しみに。

観測 FAQ
Q:どのような機材があれば観測可能ですか?
Q:どのくらいの明るさの小惑星まで測光観測ができるのでしょうか?
Q:測光用フィルターはいろいろ種類があるようですが、すべて揃える必要があるのですか?
Q:私の望遠鏡はシュミカセの経緯台式ですが、自動追尾は可能です。測光に使えるでしょうか?
Q:オートカイダーはあった方が良いですか?
Q:観測するときの積分時間はどのくらいにすれば良いのでしょうか?
Q:今、観測中なのですが、今夜は目的の小惑星がいくつもの暗い星に接近してしまいます。なんとかならないですか?
Q:一晩中、観測をつづけるのは体力的にキツイです。何か良い方法はありませんか?
Q:私の所有する冷却CCDカメラはカラー用ですが、測光観測に使えますか?
Q:いまなら、どんな小惑星を観測すれば研究になりますか?
Q:絶対測光で小惑星のカラーを求めて、小惑星のタイプを決定しようと思いますが、この Web には絶対測光の求め方についての解説はないようです。どうしてですか?
Q:観測方法を覚える究極の方法を教えてください。

解析 FAQ
Q:測光の際の apertur サイズはどう決めれば良いのでしょう?
Q:FWHM を求めるのに IRAF の imexamine を使っていますが、表示される結果のうちどの値を用いれば良いのでしょうか?
Q:IRAF の apphot で測光する際に、マウスカーソルを星像の中心に当てるのが下手で困っています。良いやり方はないですか?
Q:私の CCD カメラは、FITS フォーマットで出力すると IRAF でうまく表示できません。どうしてでしょうか?
Q:私はふだん Windows PC を利用しているので、IRAF にはまったく馴染めません。どうして、あんなに使いにくいのでしょうか?
Q:私は Linux マシンを所有していないので、IRAF を用いた解析ができません。どうすれば良いでしょうか?
Q:個人でも Linux ではなく Sun microsystems のワークステーションで解析をしている人がいるようですが、その方が良い結果が出るのでしょうか?
Q:解析を覚える効果的な方法を教えてください。

lightcurve ML の FAQ
Q:この ML は半分がプロの研究者と聞きましたが、かなり敷居の高い ML なんでしょうね?
Q:今までに何度も出た質問を繰り返すのは気が引けます。どうすれば良いのですか?
Q:ML に加入したら投稿の義務とかあるのですか?
Q:ML のメンバー構成はどのようになっているのですか?
Q:周期解析ソフト cyclocode をダウンロードして利用させてもらっていますが、日本語マニュアルがないのが残念です。作らないのですか?
Q:周期解析ソフト cyclocode は有名な Numerical Percipes in C のサブルーチンを利用しているそうですが、手元にある同名の書籍(日本語版)には、このサブルーチンが見当たりません。どうしてですか?
Q:ML では全体で一つの研究をしているのですか?
Q:私も ML に加入すれば、そういうグループに入れるのですか?
Q:ML に加入し観測を行えば、論文の共著者になれるのですか?

その他の FAQ
Q:小惑星の測光に関する研究について知るにはどうすればよいですか?
Q:測光観測に関する教科書はないのですか?
Q:小惑星研究全般に関する教科書はないのですか?
Q:私もそのうち天文学会で発表するのが夢なんですが、誰にでもできるのでしょうか?
Q:研究機関や大学に所属しない個人でも英字の論文誌に投稿できるんでしょうか?


観測 FAQ

Q:どのような機材があれば観測可能ですか?
A:20cmクラス以上の望遠鏡と冷却CCDカメラ、そして測光用フィルターが1枚あれば明るい小惑星なら観測可能です。明るい小惑星の中にも興味ある天体はたくさんあります。

Q:どのくらいの明るさの小惑星まで測光観測ができるのでしょうか?
A:組み合わせる光学系やCCDカメラ、フィルターの透過率によって異なりますが、具体的な例としては、私の所有する 25cm 反射で R バンドで15等(V等級)近くまで、ノーフィルターなら 15.8 等(V等級)までの観測実績があります。ただし、ノーフィルターの場合は解析で工夫が必要です。また、木曽の105cmシュミットでは R バンドで17.5〜18等級くらいが精度良く測光する限度のようです。

Q:測光用フィルターはいろいろ種類があるようですが、すべて揃える必要があるのですか?
A:本格的に絶対測光を行うなら BVRI フィルターを揃える必要がありますが、相対測光ならどれか1枚を用意すればOKです。一般的に言って、空が良い場所なら R バンドを、光害が多い場所なら I バンドがお勧めです。
ただし、裏面照射 CCD の場合は I バンドでフランジパターンが出ることが多いので I バンドはお勧めできません。

Q:私の望遠鏡はシュミカセの経緯台式ですが、自動追尾は可能です。測光に使えるでしょうか?
A:経緯台式でも天体の追尾は可能ですが、長時間の観測では視野が回転してしまいます。このため、比較星の選択が困難になるなど解析が難しくなるので、赤動儀ウエッジを用意することをお勧めします。

Q:オートカイダーはあった方が良いですか?
A:ないよりも、あった方が圧倒的に良いです。赤道儀によっては長時間の積分をすると、星像が流れてしまい、測光ができなくなります。オートガイダーがあれば安心して長時間積分ができます。もし、オートガイダーがなくて長時間積分ができない場合は、短い積分の画像を重ね合わせて、それを測光する方法も有効だとは思いますが、大変手間がかかります。

Q:観測するときの積分時間はどのくらいにすれば良いのでしょうか?
A:十分な精度で測光ができて、かつ、長過ぎないというのが理想です。観測対象の明るさと積分時間の関係は、実際にテストをして決めるしかありません。繰り返し観測を行えば、小惑星の予報光度から推定できるようになるでしょう。もし、観測中に IRAF でクイックルックができるならば、小惑星の FULX が 10000 カウントくらいに達するように積分すれば十分な S/N で解析が可能です。

Q:今、観測中なのですが、今夜は目的の小惑星がいくつもの暗い星に接近してしまいます。なんとかならないですか?
A:実際に観測してみると、暗い星っていっぱいあるな〜と改めて感じることがありますね。残念ながら、ある程度まで恒星に接近したフレームはリジェクトするしかありません。事前にチャートや画像などで小惑星の経路を確認して、観測計画を建てるのが最善の方法です。

Q:一晩中、観測をつづけるのは体力的にキツイです。何か良い方法はありませんか?
A:冷却CCDカメラを連続撮像モードにして、オートガイダーを使えば、ほぼ自動で観測が行えるでしょう。さらに、ガイド星が雲に隠れた場合にアラームが鳴るようにしておけば安心です。朝まで快晴が予想される夜なら、夜明けまで仮眠をとることさえできますよ。ちなみに、私はそうしています。あ〜、ラクラク。

Q:私の所有する冷却CCDカメラはカラー用ですが、測光観測に使えますか?
A:残念ながら使えません。測光観測にはモノクロ用の冷却CCDカメラが必要です。

Q:いまなら、どんな小惑星を観測すれば研究になりますか?
A:え〜とそれは、ここでは言えません。だって、企業秘密みたいなものですから。ぜひ ML に加入して情報を得てください。きっと自分にあった観測対象がみつかることでしょう。

Q:絶対測光で小惑星のカラーを求めて、小惑星のタイプを決定しようと思いますが、この Web には絶対測光の求め方についての解説はないようです。どうしてですか?
A:答えは簡単です。私には説明できないからです。絶対測光をやりたいと強く希望しているあなた。私よりも先に勉強して、やり方を解説してください。よろしく。

Q:観測方法を覚える究極の方法を教えてください。
A:経験者と一緒に観測を行うのが一番良い勉強方法です。一緒に観測すれば、たくさんのノウハウを一度に習得できることでしょう。lightcurve ML で「観測につき合いませんか?」というお誘いがあったら躊躇してはいけません。どんなに遠くても防寒着を持って駆けつけるべきです。みんなそうやって成長していくのですよ(本当か?)。

解析 FAQ

Q:測光の際の apertur サイズはどう決めれば良いのでしょう?
A:各フレーム毎に星像の FWHM を測定し、その平均値の 3 倍を apertur サイズとするのが理想的です。IRAF の apphot の apertur パラメータは半径を指定するので、FWHM の 1.5 倍の値とします。ただし、これは星像がガウス分布と仮定した話で、実際の星像はさまざまな要因で円形からはずれ、apertur をはみ出してしまう可能性があることから、少々大きめの値、例えば FWHM の 1.8 倍くらいにする方が良いでしょう。

Q:FWHM を求めるのに IRAF の imexamine を使っていますが、表示される結果のうちどの値を用いれば良いのでしょうか?
A:これも正しいやり方は存在しません。imexamine では星像の半値幅として ENCLOSED、MOFFAT、DIRECT の3つが表示されます。これらは星像のフィッティング方法の違いによるものです。このうち MOFFAT が実際の星像に一番近いと考えられますが、この値は星によってかなり差が出ますので、私は複数の星の ENCLOSED の値をざっくりと平均して FWHM の値としています。

Q:IRAF の apphot で測光する際に、マウスカーソルを星像の中心に当てるのが下手で困っています。良いやり方はないですか?
A:とりあえずマウスを使って、大雑把にカーソルを星像に重ねます。次に、キーボードの矢印キーを使ってカーソルを微調整できるのです。ね、便利でしょう。

Q:私の CCD カメラは、FITS フォーマットで出力すると IRAF でうまく表示できません。どうしてでしょうか?
A:市販の冷却CCDカメラの一部の機種では、正しい FITS フォーマットで出力できないバグがあるようです。FITS は研究用途でしか用いられないため、あまり知られていないようですから、メーカーに問い合わせてみることをお勧めします。

Q:私はふだん Windows PC を利用しているので、IRAF にはまったく馴染めません。どうして、あんなに使いにくいのでしょうか?
A:まず、住む世界が違うのだと達観することです。慣れてくると、この使い勝っての悪さがある種の快感に変化します。そして、ふと自分がこんなにも特殊な人間になっていることを、自覚するのです。(本質を見逃してるって?)

Q:私は Linux マシンを所有していないので、IRAF を用いた解析ができません。どうすれば良いでしょうか?
A:Mac OS X ならば IRAF が動きます。残念ながら、一番普及している Windows PC では IRAF は動作しません。Windows PC 動作するフリーの解析ソフトがあると良いのですが、今のところ適当なものはないようです。解析ができる人と組んで、分業をするのも手かもしれませんが、解析を自分でやってこそ測光の醍醐味が味わえるので、がんばって Linux のインストールに挑戦してみてください。その時も lightcurve ML が役立つことでしょう。

Q:個人でも Linux ではなく Sun microsystems のワークステーションで解析をしている人がいるようですが、その方が良い結果が出るのでしょうか?
A:困った人がいますね。そういう Sun microsystems オタクには惑わされずに、普通に Linux を使うのが賢い選択です。ちなみに Sun のワークステーションは PC に比べて、ちっとも早くはないんですよ。それに同じ IRAF を用いるのですから、もちろん結果は同じです。

Q:解析を覚える効果的な方法を教えてください。
A:毎年、開催している lightcurve ML 勉強会では、初心者向けの解析講習会も開いているので、ぜひ参加してください。解析はいきなりメールで説明されても理解しにくいので、実際にマシンを操作しながら説明を受けるのが一番効果的でしょう。

lightcurve ML の FAQ

Q:この ML は半分がプロの研究者と聞きましたが、かなり敷居の高い ML なんでしょうね?
A:そんなことはぜんぜんありません。なにしろ、アマチュアの私が立ち上げた ML なんですから。それに質問メールには、皆さんすごく親切にアドバイスしてくれますよ。安心して加入してください。

Q:今までに何度も出た質問を繰り返すのは気が引けます。どうすれば良いのですか?
A:途中で加入した人が、それまでの情報を得にくいというのが ML の欠点ですね。過去のメールが取り寄せられるだけでは不十分でしょう。この欠点をカバーするために、ML で議論した内容を盛り込んだ「観測の手引」と「解析の手引」を作成し、公開しています。ぜひ、活用してください。

Q:ML に加入したら投稿の義務とかあるのですか?
A:義務は何もありません。ROM でもまったく問題なしです。投稿以外にも、何か作業をしなければならないとか、観測をしなければならないなどの心配もまったくないので、安心して加入してください。(あたりまえか)

Q:ML のメンバー構成はどのようになっているのですか?
A:現在、メンバーは40名余りで、約6割がプロの研究者(国立天文台、JAXA等の研究機関、大学関係及び博士・修士課程の学生)です。アマチュアとしては社会教育施設(科学館、プラネタリウム、公開天文台等)や学校関係者が多く、個人のアマチュアはあまり多くはありません。実際に観測や解析を目指すアマチュアの方が増えることを期待しています。

Q:周期解析ソフト cyclocode をダウンロードして利用させてもらっていますが、日本語マニュアルがないのが残念です。作らないのですか?
A:cyclocode を使いこなしているあなた、ML に加入して日本語マニュアルを作ってもらえませんか? 私一人ですべて行うのは限度があります。みんなで協力して ML の活動を進めていけるのが理想です。よろしくお願いします。

Q:周期解析ソフト cyclocode は有名な Numerical Percipes in C のサブルーチンを利用しているそうですが、手元にある同名の書籍(日本語版)には、このサブルーチンが見当たりません。どうしてですか?
A:あなたもかなりマニアックな方ですね。このサブルーチンは日本語版の元になった版以降に盛り込まれたものです。したがって英語版の最新版の書籍には掲載されています。なお、これらのサブルーチンは Web で公開されているので探してみてください。ちなみに、cyclocode にはこれらのサブルーチン以外のアルゴリズムも盛り込まれているんですよ。

Q:ML では全体で一つの研究をしているのですか?
A:いえ、そうではありません。いろいろなグループが存在し、それぞれで共同研究をしています。ML は単に情報交換の場であって、あくまでも緩いつながりを持った集まりに過ぎません。

Q:私も ML に加入すれば、そういうグループに入れるのですか?
A:グループは正式なものではありません。ML の活動の中から自然発生的に集まった場合もあるし、ML とは無関係にプロの世界のつながりで生まれたグループもあります。もちろん、正式な研究室を単位として活動しているグループもあります。ML は単なる情報交換の場ですから、これらのグループと知り合うきっかけを作っていると言えるでしょう。それが重要なんですけどね。あなたが積極的にさえなれば、きっと自分に合ったグループに入ることができるでしょう。

Q:ML に加入し観測を行えば、論文の共著者になれるのですか?
A:これは、それぞれの共同研究グループごとの約束事になります。一般論で言えば、研究を進める上で一定の役割を担った場合は共著者になりえますが、そうでない場合は論文の最後の謝辞に掲載されることになるでしょう。単に観測するにとどまらずに、研究そのものにも積極的にかかわってみることをお勧めします。

その他の FAQ

Q:小惑星の測光に関する研究について知るにはどうすればよいですか?
A:論文を読むのが一番です。世界中の論文の abstract を
http://ads.nao.ac.jp/ から検索できます。この Web では論文の本文は一部を除いて読めませんが、google 等で検索すれば PDF で置いてあるのを見つけられることが多いです。

Q:測光観測に関する教科書はないのですか?
A:以下の2冊がお勧めです。両方を揃えることが望ましいでしょう。

Astronomical Photometry A Text and Handbook for the Advanced Amateur and Professional Astronomer
測光観測のお勧めの教科書です。光電管測光を前提とした内容ですが、測光観測の基礎の部分は CCD 測光でも同じです。出版元の Web からオンラインショッピングで購入できます。
An Introduction to Astronomical Photometry Using CCDs
オクラホマ大学が提供する CCD 測光の教科書です。PDF ファイルで 167 ページあります。上の教科書と併せて利用することをお勧めします。

Q:小惑星研究全般に関する教科書はないのですか?
A:ASTEROIDS III という本(英文)がお勧めです。ただし、分厚い本なので読みにくく、また高価でもあるため
http://www.lpi.usra.edu/books/AsteroidsIII/download.html から PDF ファイルで必要なページだけをダウンロードして、印刷して読むのが良いでしょう。

Q:私もそのうち天文学会で発表するのが夢なんですが、誰にでもできるのでしょうか?
A:もちろんできますよ。高校生だって堂々と発表しているくらいなんだから。会員以外でも発表の申込ができる規定になっていますからご安心を。でももし、継続して研究活動を続けるのならば、天文学会の会員になりましょう。会費の安い準会員で大丈夫です。会員になっておけば、内地留学で国立天文台等で正式に勉強できるチャンスだってあるんですよ。

Q:研究機関や大学に所属しない個人でも英字の論文誌に投稿できるんでしょうか?
A:私にはできません。だって英語ができないので(答えになってない)。でも、要するに語学の問題だけであって、個人では投稿ができないなんてことはありません。これって私にとっても長年の夢ですね〜。そのうち実現したいです。あなたも頑張ってください。

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