ノーフィルターでの観測について


 ライトカーブ観測では測光用のUBVRIフィルターのいずれかを付けて行なうことが原則です。ここでは何らかの理由によりこのようなフィルターを付けないで観測した場合の処理について簡単に説明します。

1 原則は測光フィルターが必要

 測光用のUBVRIフィルターは種類によって異なりますが、ある程度狭い範囲の波長だけを透過するため、星の色(スペクトル型)に違いがあっても星の色による違いが生じません。
 具体例として、Rバンドフィルターを使用してライトカーブ観測をした際の比較星の光度変化をグラフにしたもの図1をご覧ください。グラフの横軸は時間(UT)、縦軸は比較星の明るさです。
 ここにプロットした10個の比較星はさまざまな色の星を含んでいますが、Rバンドを透過した光だけで撮像しているため、ほとんどの星が同じ変化をしているのがかわります。(例外として5番目の比較星が15.9UTで増光しており、この比較星はリジェクトしています)

図1

 なお、比較星は全体としてなだらかな山形の変化をしているますが、この変化の原因は初めの頃の増光が星の高度の上昇によるもの、最後の方の減光が天候の悪化によるものです。

2 測光フィルターを付けないと

 一方、なにもフィルターを付けずに同様の観測をした結果を図2に掲げます。これらの星は図1と同じものではありませんが、やはりさまざまな色の星を含んでいます。

図2

 図2の縦軸のスケールは図1と同じにしてあります。また、15〜16UTの変化のない部分は望遠鏡の向きを変えたため観測出来なかった部分です。
 図1と比較すると違いは明らかで、それぞれの星は異なった変化をしています。よく見ると、いくつかの星は同じパターンで変化しているように見えます。これは同じ色の星が同じ変化をしているためです。
 このような変化の違いは、Bバンドの青い光では大気のガス成分によるレーリー散乱(〜波長400nm)が効いているのに対し、RやIバンドの赤い光ではエアロゾルと呼ばれる粒子によるミー散乱(〜あまり波長によらない)が効いてくるためです。

3 ノーフィルタ観測を救う方法

 この結果から、ライトカーブ観測では測光フィルターを使用しなければならないことがわかりますが、以下の理由からノーフィルタ観測もあり得ると思われます。
・測光フィルターが入手できない場合
・限界等級ぎりぎりの小惑星を観測しなければならない場合(測光フィルターを使うと光量をかなりロスするため)
・測光フィルターを入れ忘れて観測してしまった場合
 このようなノーフィルター観測を救う方法として、小惑星の光源である太陽の色に近い星だけを比較星として採用することが考えられます。
 そのためには星表で比較星の色を確認します。例えばUSNO−A2.0星表では星の色はB等級とR等級で示されているので、その値の差(B−R)を基準として比較星を選択します。太陽のB−Rがほぼ0.9なので、これに近い星だけ比較星にして、それらの平均値と小惑星との光度差をプロットすれば測光フィルターを用いたものに近いライトカーブが得られ るはずです。
 このような方法で完全ではないものの、ノーフィルタ観測を救うことが可能となるでしょう。