木曽 2K CCD 解析メモ


・このメモは、木曽観測所シュミット望遠鏡の 2K CCD カメラの解析手順をまとめたものです。
・このメモは、2K CCD に固有の部分を中心にまとめているので、解析の一般論については「解析の手引」を併せて参照してください
・このメモは、あくまでも個人的な解析手順を記録したものであることをご承知ください。


1 CD-ROM からの読み込み

(1)

 root になって CD-R をマウントし、一般ユーザに戻る
	% su
	# mount /mnt/cdrom
	# exit
	%
  
 作業用ディレクトリを作成する
	% mkdir /scr/kiso/yyyymmdd
  
 CD-R からデータを読み込む
	% cp /mnt/cdrom/* /scr/kiso/yyyymmdd
  
 ファイルモードを変更する
 ( Windows マシンで CD-R を作成すると、データのファイルモードが実行可能ファイルとして記録されてしまう。これを正しい非実行可能ファイルに変更する )
	% chmod -x *
  
 root になって CD-R をアンマウントし、一般ユーザに戻る
	% su
	# unmount /mnt/cdrom
	# eject
	# exit
	%
  
※ 木曽 2K CCD の1夜分のデータはだいたい CD-R で複数枚となるので、この作業を繰り返す。

2 IRAF の起動

(1) 準備

 2K CCD 用に login.cl の以下の行を修正しておく。
	#set    stdimage        = imt800
	           ↓
	set    stdimage        = imt1024
	

(2) DS9 と xgterm の起動

 DS9 と xgterm を起動する。解析の記録を残すために gedit も起動しておくと良い。
	% ds9 &
	% xgterm &
	% gedit &
    
 DS9、kterm、xgterm を次のように配置する
 左側が DS9、右上が kterm、右下が xgterm
 gedit は DS9 の裏にでも置いておくと良いだろう。

(3) IRAF の起動

 IRAF を通常どおり起動する。

3 測光

(1) 比較星の選択

 2K CCD はチップに欠陥ピクセルが多く、比較星が欠陥ピクセルにかかってしまうことが多い。かかってしまった比較星はリジェクトするしかない。比較星は、すべてのフレームで共通して測定できた星だけを利用することになる。したがって、リジェクトすることを前提に少しでも多くの比較星を選択しておくことが望ましい。
 2K CCD は約40000カウントまでリニアリティーが保証されている。bias(約4000カウント)を差し引いた一次処理後の画像において、peakが約36000カウントまでの星を比較星に利用できる。

(2) 実際の測光

 2K CCD の欠陥ピクセルの一つのパターンで一番目立つのは次の画像のように縦に筋状になっているものである。星像がこのパターンに近くなると sky を正しく処理できなくなるので、object をこのパターンのそばに置かないよう気をつける必要がある。また、このパターンの近くにある星は比較星に選択してはいけない。

 次に、目立たないパターンとしては以下の画像のような、小さな黒い縦線状のものがある。このパターンは少々アップにしないと気づかないので注意が必要である。

 上のような欠陥ピクセルに星像が乗ると、次の画像のように星像の上方向にスジが出てしまう。( DS9 の右上の拡大表示で確認すること)

 このような画像を測光すると、以下のように Radial profile において異常な測光値が表示されるので、リジェクトするしかない。(下の方に星の profile とは別のなだらかなプロットに注意)

4 結果の整理

(1) 測光結果の取り出し

 kterm で以下のようにコマンドを入力すると、FITS ファイルと測 定結果ファイルから結果を取り出して mag.dat というファイルに出力する。
	% mag-kiso.pl *.mag.1 > mag.dat
  
 ただし、測光は kcd53xxx.mag.1 というファイルに出力しているこ とが前提である。測光を失敗してやり直す場合は、まず、出力された *.mag.1 というファイルを削除してからやり直して、常に結果が *.mag.1 という名称 で作成するよう注意すること。

(2) 比較星の測光結果の確認

 比較星のうち、おかしな明るさの変化をしているもの、あるいは比 較星を取り違えて測光した場合などをチェックするために測光結果の確認を行 う。
	% cat mag.dat | mag2sd.pl

                           S.D. of comp stars.
         1         2         3         4         5         6         7         8         9        10
  1   0.00000   0.00678   0.03751   0.02620   0.01054   0.01054   0.01313   0.02282   0.01782   0.01350
  2   0.00678   0.00000   0.03895   0.02923   0.01240   0.00778   0.01551   0.02556   0.01994   0.01573
  3   0.03751   0.03895   0.00000   0.01603   0.03067   0.03908   0.02543   0.01682   0.02167   0.02695
  4   0.02620   0.02923   0.01603   0.00000   0.01909   0.03041   0.01466   0.00720   0.01371   0.01546
  5   0.01054   0.01240   0.03067   0.01909   0.00000   0.01389   0.00720   0.01581   0.01235   0.00722
  6   0.01054   0.00778   0.03908   0.03041   0.01389   0.00000   0.01683   0.02572   0.02107   0.01663
  7   0.01313   0.01551   0.02543   0.01466   0.00720   0.01683   0.00000   0.01106   0.00715   0.00660
  8   0.02282   0.02556   0.01682   0.00720   0.01581   0.02572   0.01106   0.00000   0.00979   0.01204
  9   0.01782   0.01994   0.02167   0.01371   0.01235   0.02107   0.00715   0.00979   0.00000   0.01160
 10   0.01350   0.01573   0.02695   0.01546   0.00722   0.01663   0.00660   0.01204   0.01160   0.00000

  
 この出力は、比較星相互の差の標準偏差を求めたものであり、測光 誤差の範囲内であれば問題ないが、例えば 0.05等級を越えるような場合は、 なんらかの問題があると疑った方が良いであろう。問題がある比較星があれば、 それをリジェクトする。

(3) 測光結果のプロット

(a) 準備

 出力した mga.dat をプロットデータに変換する。
	% cat mag.dat | mag2gplot.pl > mag.gpl
      
 次に、プロットのためのプログラム gnuplot を起動する。 gnuplot は UNIX では一般的なフリーソフトであるが、使い慣れた Excle 等 を利用しても、もちろん差し支えない。
 まず、gnupolot のための kterm を起動する。次に、起動した kterm の中から gnuplot を起動する。
	% kterm &
      

(b) 比較星のグラフ

 まず、gnuplot の中で以下のようにコマンドを入力し、比較星の明る さの変化のグラフを表示する。
	gnuplot> set data style linespoint 
	gnuplot> plot "mag.dat" using 1:4,"mag.dat" using 1:5,"mag.dat" using 1:6,"mag.dat" using 1:7,"mag.dat" using 1:8
      

 ここで、グラフがほぼ直線で、なだらかなカマボコ型を示せば大気 が安定した測光夜であったことがわかる。反対に、グラフがギザギザに上下し ている場合は、大気が不安定で雲が通過したりモヤがかかったなどがわかる。

 ※ただし、この例では比較星が5個の例である。より多くの比較星を 利用した場合は、このコマンドをさらに長く入力する必要があるが、kterm 上 で gnuplot を利用する場合、行を越える入力がうまく行かないので、このく らいに留める方がよいだろう。
 このグラフは比較星全体の光度変化を把握するものであり、比較星相 互の変化は、先の標準偏差の計算から把握すべきである。
 なお、上のコマンド例では、グラフのスケールは gnuplot が自動 計算するため、グラフの縦軸は上が暗い方になってしまう。これを避けるには 以下のようにコマンドを入力する必要がある。
 plot コマンドのすぐあとにスケールを指定する。最初の [10:20] が X 軸の指定で、UT12時〜UT22時までとする例である。次の [15:10] が Y 軸の指定で、上が10等級、下が15等級とする例である。これらの値は適宜変更 して最適なグラフを作成することができる。
	gnuplot> plot [10:20][15:10] "mag.dat" using 1:4,"mag.dat" using 1:5,"mag.dat" using 1:6,"mag.dat" using 1:7,"mag.dat" using 1:8
      

(b) 小惑星のグラフ

 次に、小惑星のグラフをプロットするために、以下のコマンドを入 力する。
	gnuplot> plot "mag.gpl" with errorbars   
      

 この結果を見て、誤差が大きい場合や、比較星が大きく変化して いる場合など、リジェクトすべきデータを把握し、mag.dat を編集する。

 なお、上のコマンド例では、グラフのスケールは gnuplot が自動 計算するため、グラフの縦軸は上が暗い方になってしまう。これを避けるには 以下のようにコマンドを入力する必要がある。
 plot コマンドのすぐあとにスケールを指定する。最初の [10:20] が X 軸の指定で、UT12時〜UT22時までとする例である。次の [3:2] が Y 軸の指定で、上が10等級、下が15等級とする例である。これらの値は適宜変更 して最適なグラフを作成することができる。(X 軸の値は一定にしておくのが 望ましい)
	gnuplot> plot [10:20][3:2] "mag.gpl" with errorbars   
      

(c) gnuplot の他のコマンド

 ライトカーブ作成に必要な他のコマンドを紹介しておく。

 グラフ全体のタイトル
	gnuplot> set title "(4147) Lennon"
      
 X 軸のタイトル
	gnuplot> set xlabel "3 October 2003 UT"
      
 Y 軸のタイトル
	gnuplot> set ylabel "Relative Magnitude (R)"
      
 X 軸のメモリを1時間ごとにする
	gnuplot> set xtics 10,1,20
      
 グラフの右上の汎用を消す
	gnuplot> set nokey